Concept

デザインの
考え方 。

4つの側面をもつジーピーのデザイン理念

例えば、新記録を出して優勝したスポーツ選手がいたとします。
彼はまずインタビュアーにこう聞かれるでしょう。「この喜びをまず誰に伝えたいですか」。そして次に「会ったら、まず何と言って報告しますか」。この2つの質問は、広告においても重要です。その製品が誰にいちばん売れるのか。その製品のどんな点をいちばんに伝えるべきなのか。
その選手にとって伝えたいのは、家族かもしれないし、コーチかも知れない。また家族なら「優勝したぞ~」と言う方が喜ばれるかもしれないし、コーチになら「新記録です」の方が喜ばれるかもしれない。
誰に伝えるかというターゲットと、何を伝えるかという訴求ポイント。
この2つをキチンと絞り込むためのコントロールを大切にします。
そして絞り込んだ一滴のメッセージを、心の真ん中に落とす。
そこから生まれるコミュニケーションの波紋は、長く大きく拡がって行きます。

それは家族の温かさだったり、がんばってる人の情熱であったり、恋人への熱愛であったり。
人の心を動かす広告には、いつもなんらかの温度が盛り込まれているんですよね。
これは、広告をセールスマンに置き換えても言えること。
優れたセールスマンになるには、饒舌なだけでは足りません。人柄のいいセールスマンであるということ。
市場が成熟し、製品の力に決定的な差がなくなってきている今日、消費者はセールスマンの話術よりもむしろ人柄を重視します。上手に売り込むセールスマンからではなく、温かい人柄を持つセールスマンの方を消費者は選びます。

すなわち広告で言えば、情報を伝えるだけではなく、温もりのあるもの。「ほのぼの」であったり、「ワクワク」だったり、それぞれのターゲットにとって最も共感しやすいトーンを広告に持たせる。
それは、饒舌な広告たちが凍らせてしまった消費者の心(猜疑心)を、優しく溶かす温度でもあるのです。

私たちが言うのも何ですが、世間は情報の洪水です。目の肥えた消費者の心に深く浸透できる広告を作るためには・・・。それは、一人の女性へのプロポーズを競い合うことに似ています。ライバル達に勝つために、まず彼女の心をマーケティング調査してみる。
花が好きな彼女には花束を、ドライブが好きなら景色のいい場所の下見を。ただ盲目的に愛を伝えるのではなく、彼女への好意と思いやりを最適の方法で表現した上で、プロポーズする。これは広告の基本でもあります。まず消費者の心の扉を開く、効果的な表現アプローチを示す。その上で、製品を売り込んでいく。
またもう1つ忘れてならないのは、広告と消費者が逢える頻度。1回だけかも知れないのです。
その1回でいかに10回、20回分のメッセージを効率よく浸透させるか。
そのためにはインパクトある表現でなければならない。
この2つのこと、恋のキューピットならぬ、消費のキューピットであるための秘策です。

「もし会議中に何から何まで同じ意見を持つ2人がいたら、雇うのは一人でいい」と言った経営者がいたそうです。オリジナルの意見を持つこと、そしてそれを主張していくことの必要性を語ったこの言葉を、私たちは大切にしていきたいと思います。
そのため、ときには、敢えてオリエンテーション以外のことも提案していくつもりです。より効き目のある広告を作るための道が、他にあると判断した場合です。
それは、遠回りなだけの結果に終わるかもしれません。
しかし本当のパートナーシップとは、そういうことだと思うのです。
広告主と広告製作者が一緒に広告表現の可能性を追求していく。
その中で生まれてくる結晶こそが、人の心を揺さぶる力を持つ。そんな結晶を作り、磨き上げて行くために、緻密な企画力と大胆な発想力を駆使します。
ジーピーは、腕のいいファクトリーであると同時に、優れたシンクタンクであり続けます。